連鎖

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「……マジか……」 言葉と共に吐き出される、ハイジの溜め息。そこに拒絶の色は感じられないものの、僕とハイジの間を簡単に隔てた様な気がした。 「……」 あれだけハイジと心が重なり、精神が一つに混ざり合ったような感覚がしたというのに…… 淋しさが募り、ピクリと指先が痙攣する。 「……さくら」 それを感じ取ったのか。ハイジの手が僕の腕を辿り、手の甲を見つける。そして、温かく包み込むようにして、震える指先をそっと握る。 ……トクントクントクン さっきの心音よりも速い、ハイジの心音。それを追いかけるように脈動する、僕の心臓。 ……不思議と、先程感じてしまった溝が埋まっていく。 「お前……何処までも、オレと似てンな」 ギュッと、その手に力が籠められる。驚いて視線を上げれば、ハイジのそれとぶつかった。 「……」 穏やかな双眸。だけど、ハイジを纏うオーラが色濃くなっていき……犬歯を見せる程に口角を持ち上げ、やんちゃな笑顔を見せる。 「さくらには悪ぃけど。スゲェ嬉しい、っつーか」 「……ぇ……」 「笑うなよ。初めてさくらを見た時、オレ、ビビッてきたンだよ。……あ、コイツだ! って。 だけど。あんな乱パ目的みてぇな所で、んな事有り得ねぇ……」 「……」 「ンな奇跡みてぇな事、ある訳ねぇって思うだろ。フツー」 興奮したように、ハイジが捲し立てる。 その言葉の数々が、さっきの僕の告白とどう繋がるのか……さっぱり解らない。 「──やっぱオレら、運命だったんだよ!!」 じっと見つめていれば、眼をキラキラとさせたハイジが発作の如く僕を引き寄せ、ギュッと強く抱き締める。 「そうとしか、思えねぇ……」 僅かながら冷静さを取り戻したらしい。興奮し、乱れていた呼吸が次第に整っていく。 それでも、まだ昂る感情に浸っているのだろう。僕の後ろ髪を愛おしそうに梳く。 「実は、オレもさ。……母親がレイプされて産まれた子なんだよ」 「──!」 思ってもみない告白に驚く。 再びハイジを見上げれば、ここではない何処か──遠い記憶を辿るような眼で、ぼんやり一点を眺めていた。
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