スキサケ

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「う…わ。マジか」 他人事(ひとごと)ながら悲惨過ぎて心がザワザワする。 ずぶ濡れになった山下育実は自分の足元、それから肩ら辺に目をやり次の瞬間大爆笑した。1人で笑いながら濡れた顔を手の平で擦り、青になった信号を渡った。 その笑った顔がなぜだかすごく気になって、俺は山下育実を走って追いかけた。 「なぁ…」 振り向いた山下育実は思った以上にずぶ濡れだった。 「…内野君?だっけ」 「あぁ、うん。あの…大丈夫?」 「あ、見た?さっきの」 そう言って山下育実は思い出し笑いをする。 「あんなサーフィンみたいな水、最悪だったな…」 「いやいや最高でしょ⁈こんな面白い体験そうそう出来るもんじゃないよ」 「面白い?マジで言ってんの」 「だって雨降ってないのにビチャビチャって」 そう言ってまた笑いの波が山下育実に押し寄せる。 「変なやつだな」 歩く度に山下育実の靴からはペチャペチャと音が出る。それも彼女にとっては面白いらしい。
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