20人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「う…わ。マジか」
他人事ながら悲惨過ぎて心がザワザワする。
ずぶ濡れになった山下育実は自分の足元、それから肩ら辺に目をやり次の瞬間大爆笑した。1人で笑いながら濡れた顔を手の平で擦り、青になった信号を渡った。
その笑った顔がなぜだかすごく気になって、俺は山下育実を走って追いかけた。
「なぁ…」
振り向いた山下育実は思った以上にずぶ濡れだった。
「…内野君?だっけ」
「あぁ、うん。あの…大丈夫?」
「あ、見た?さっきの」
そう言って山下育実は思い出し笑いをする。
「あんなサーフィンみたいな水、最悪だったな…」
「いやいや最高でしょ⁈こんな面白い体験そうそう出来るもんじゃないよ」
「面白い?マジで言ってんの」
「だって雨降ってないのにビチャビチャって」
そう言ってまた笑いの波が山下育実に押し寄せる。
「変なやつだな」
歩く度に山下育実の靴からはペチャペチャと音が出る。それも彼女にとっては面白いらしい。
最初のコメントを投稿しよう!