スキサケ

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 例年よりも短めの梅雨が終わり、暫く晴天が続いていた7月中旬の事だった。  その日は4限までの一斉下校の日で、日直を終えて一歩出遅れた俺は1人で昇降口に向かった。  3限の終わり頃から急に雲行きが怪しくなってきていて、嫌な予感はしていた。 「くそ…間に合わなかった」  既に雨が降り始めている。  すっかり油断していて傘は持っていなかった。  仕方ない…10分ちょっと走るか。  靴に履き替えてドアを出た俺の目の前で、折りたたみ傘を広げた山下育実が俺の知らない男にその傘を差し出した。  男は「狭ッ」とか言って笑いながらその傘を受け取った。  2人で頭を寄せ合って歩き出す。  は?  俺はそのまま何分かそこに突っ立ったままだった。  そして結局本降りになってから学校を出て、雨に濡れながらダラダラと歩いた。
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