5人が本棚に入れています
本棚に追加
――第一幕
農園の少女は憂鬱だった。
雨が続き、作物が心配なのだ。
舟を繋ぐ紐はギシギシと悲鳴を上げ、気を抜けば何処かへ流されてしまいそうな気がする。
「空よ、何をそんなに泣くことがあるの。あなたはただ地上を見下ろすだけで、服を濡らして引きずるように舟を見回る必要もないじゃない」
空は少女の愚痴が聞こえたのか、それからしばらくして泣くことを止めた。
少女は見上げる太陽に喜ぶも、これから流れ出た土を補充しなければいけないことを思い出し、また憂鬱になった。
最初のコメントを投稿しよう!