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――第四幕
農園の娘、セッティは憂鬱だった。
また雨が降らないのだ。
もう二日も降っていない。
舟の土はまだ濡れているし、オレンジの葉はピンと張っている。
でももう二日も降っていない。
青年の顔が一秒と離れない。
このままでは枯れてしまう。
セッティの恋焦がれる想いが強くて、心があっという間に干上がってしまう。
空よ、次はいつ雨を降らせるの?
どうして私に意地悪するの?
いらない時は降るくせに、こうして必要な時は一滴も降らせないじゃない。
三日目も、四日目も、五日目も降らない。
六日目は三十分だけ小雨が降ったけど、そんなものに意味はない。
七日目。
憎らしいほど太陽が輝いている。
舟の土はカラカラだ。
重たい水やり。気分も重たい。
あなたが来ない。あなたに会いたい。
だけど十日目、ついに雨になる。
天は彼女の声を聞いたのか、大粒の雨が次から次へと地を打ち付けた。
だけど今度は雨が上がらない。
一日待っても、二日待っても上がらない。
空よ、違うの。私は雨が欲しいわけじゃないの。
欲しいのは雨上がり。
雨が上がらなければ、警ら隊は来ないじゃない。
半日降って、半日休み。
また半日降って、半日休み。
私が欲しいのはそういう雨なの。
止まない雨じゃ、あの人は来ない!
三日三晩降り続いた雨は、彼女を憂鬱の中に沈めた後、太陽と一緒にあの人を連れてきた。
幸せとは、このことを言うに違いない。
彼女の後ろに向けられた笑みを見て、セッティはその日も舞い上がった。
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