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後編
「にしても、美人だったですねぇ、満島佐良子は。ねぇ、先輩?」
「そうだな……しかし彼女の欲望は漆黒より深い黒だ。安易に覗いてはいけないものだった」
「俺、あれからちょっと首絞めプレイに興味が湧いて彼女で試しちゃいました」
「……バカか? お前は……」
「あはは。バカですよね、俺。満島佐良子の妖艶な笑みが忘れられないんですよ」
「彼女は男を惑わす魅惑の悪女だったな。存在自体が底知れないブラックホールのようなものだった」
「嵌ったら二度と抜け出してこれない深淵……か……」
「もう彼女で試すなよ?」
「分かってますって」
その二週間後、高柳刑事が妻殺害容疑で逮捕された。彼の供述によると、彼の妻もまた、首絞めプレイ中の事故で誤って死んでしまったとの事だった。
満島佐良子のどす黒い欲望は、確実に周囲に伝染して闇に落ちるものを増やして行った。
彼女に微笑まれた者は、彼女の漆黒の呪縛から逃げられないのかもしれない──。
────了
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