0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
すっかり暮れなずんできた夕空を見上げて、野良猫のアルの目から一筋の涙が夕陽に光った。
「俺があの時、親兄妹に誓った精神はまだ叶ってないけどさ。
俺の心は何時まで独り。独りだから何でもやれた。
そして、あの時の思いは変わらない。
俺は無頼。無頼者の自由な猫の『アル』だ。
なあ、母ちゃん。父ちゃん。兄妹。
虹の向こうでそんな俺を何時までも見守ってくれ・・・」
野良猫のアルは頬を伝う涙を振り切ると、雨上がりの陽の光で乾いてきたアスファルトをひとり、夕陽にその身体を照らし出して長い影をひいて足並みをゆっくりと、街の中へ吸い込まれていった。
〜野良猫アルの伝説〜雨上がりの空〜
〜fin〜
最初のコメントを投稿しよう!