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 薬草笛はボトルネジを回した摩擦で出る音なのだけど、訓練すると思った通りに音を出せるらしい。レオナード様が薬草笛のボトルネジをひねるとキュキュキュッと鳴った。 「こうですか……?」  私もレオナード様の真似をしてボトルネジを回してみる。 「ふふっ、今のはあっちに行こうだな」 「うーん、難しいです。もっと高めなのかなあ?」  何回か回してみたけれど、お腹すいたとか、遊ぼうになってしまう。 「うう、すごく難しい……」 「いくらでも付き合うから、ゆっくり覚えたらいいよ」 「そんな……っ! 毎日こうして薬草鳥の言葉を教えてもらうのも申し訳なくて……できるだけ早く覚えるようにしますから!」 「そんなこと気にしなくていいのに」  レオナード様は柔らかく目を細め、微笑んだ。あまりに私ばかりがもらいすぎているのが落ち着かない。お返しを考えても、王太子のレオナード様の喜ぶものなんて思い浮かばなくて直接聞くことにした。 「あの、今度なにかお礼をしたいのですが、なにか希望はありますか?」 「なんでもいいのかな?」  レオナード様の言葉にうなずくと、何かを思いついたようにレオナード様が微笑んだ。 「じゃあ、俺とデートしてほしい」 「ええっ?!」    予想外な言葉に、驚いて声を上げてしまう。
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