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「え、えっ……すき……?」
優しいまなざしを向けられて、ふわふわただよう甘い雰囲気に心臓がどきどきしてきた。永遠に続くような気がした沈黙の中でレオナード様が口をひらく。
「うん、そう。今の音は、好きって鳴き声だよ」
「あ、あああ、な、な、なきごえ……! そ、そうですよね、ははは、ほんとうにむずかしいですね」
勘違いが恥ずかしくて耳が熱くなる。
「ふふっ、難しいね。でも、あともう一押しかな」
「レオナード様、ごめんなさい。今、なんて言いましたか?」
「なんでもない」
言葉が聞き取れなくて尋ねたけれど、レオナード様は首を傾げて綺麗に微笑む。
「薬草カフェのあとに薬草採取に必要な道具一式も、一緒に買おう。ドワーフの鍛冶屋にドラゴンの鱗を持って行って採取ナイフを作ってもらうのはマストかな。あとはマントとブーツ、採取用カバンをお揃いで買ってもいいけど、ああ、でもアイリーンに俺の装備を選んでもらうのもいいな。アイリーン、選んでくれる?」
レオナード様が目を輝かせて嬉しそうに語るのが、なんだか可愛いと思ってしまう。
「もちろんです! レオナード様とデートするの楽しみです」
「──っ!」
気づけば浮かれてレオナード様の言葉を真似をしていた。驚いて口元を片手で覆ったレオナード様と目が合うと、自身のとんでもない発言に気づいて羞恥に襲われる。穴があったら入りたいし、幻の時魔法で時間を戻したい。
顔から火が吹き出ている私に、レオナード様が近づく。
「アイリーン、今度のデート、楽しみにしててね?」
甘やかな声で耳打ちされて、心臓が大きく跳ねる。
「っ! あ、あの、……お手柔らかにお願いします」
どうしたらいいのか分からず迷った末に出てきた言葉と一緒に頭を下げた。
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