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「アイリーン、そうだ、もしかして眼鏡の度数が合ってない?」 「えっ? っ、あっ! そ、そうなんです……っ! アカデミーにある魔法薬の本が面白くて、つい夜更けまで読んでいるので……視力が落ちたのかもしれませんっ!」  レオナード様の気まずい空気を変えようとしてくれる優しさに全力で甘え、こくこくと頭を縦に振る。 「度数が合っていないのは困るよな。俺のお勧めの眼鏡店に連れていってあげるよ」 「えっ……? あの、お店を教えてもらえるだけでも……? レオナード様はお忙しいでしょうし……っ」  なぜか話が違う方向に変わっていて、目を瞬かせた。 「いや、大丈夫だよ。俺も自分用にひとつ作りたいと思っていたからね。ちょうど薬草マーケットもあるし、案内してあげるよ」 「薬草マーケットの案内……?」 「うん。世界一と呼ばれるクラウト王国自慢の薬草マーケットの定番から穴場まで、俺なら自信を持って案内できるよ」  ずっと行きたかった憧れの薬草マーケットに気持ちが大きく揺れ動く。でも、王太子のレオナード様と出掛けるのはハードルが高すぎて悩んでしまう。 「アイリーンは、他では見られない珍しい薬草見たくない?」 「見たいですっ!」  私の頭の中から迷いがあっさり消え去る。 「それじゃあ、決まりね。一緒に薬草マーケット(デート)に出かけよう」  レオナード様の言葉に、私は期待に胸を弾ませて大きくうなずいた。
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