177人が本棚に入れています
本棚に追加
6
「アイリーン、そうだ、もしかして眼鏡の度数が合ってない?」
「えっ? っ、あっ! そ、そうなんです……っ! アカデミーにある魔法薬の本が面白くて、つい夜更けまで読んでいるので……視力が落ちたのかもしれませんっ!」
レオナード様の気まずい空気を変えようとしてくれる優しさに全力で甘え、こくこくと頭を縦に振る。
「度数が合っていないのは困るよな。俺のお勧めの眼鏡店に連れていってあげるよ」
「えっ……? あの、お店を教えてもらえるだけでも……? レオナード様はお忙しいでしょうし……っ」
なぜか話が違う方向に変わっていて、目を瞬かせた。
「いや、大丈夫だよ。俺も自分用にひとつ作りたいと思っていたからね。ちょうど薬草マーケットもあるし、案内してあげるよ」
「薬草マーケットの案内……?」
「うん。世界一と呼ばれるクラウト王国自慢の薬草マーケットの定番から穴場まで、俺なら自信を持って案内できるよ」
ずっと行きたかった憧れの薬草マーケットに気持ちが大きく揺れ動く。でも、王太子のレオナード様と出掛けるのはハードルが高すぎて悩んでしまう。
「アイリーンは、他では見られない珍しい薬草見たくない?」
「見たいですっ!」
私の頭の中から迷いがあっさり消え去る。
「それじゃあ、決まりね。一緒に薬草マーケットに出かけよう」
レオナード様の言葉に、私は期待に胸を弾ませて大きくうなずいた。
最初のコメントを投稿しよう!