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「ああ、これはね薬草鳥を呼ぶための薬草笛だよ。空にいる薬草鳥に薬草の生えてる場所を聞いたり、危険がないかを確認するんだ」
レオナード様が店主にことわりボトルネジを回すと、キュッキュッと鳥の鳴き声そっくりな音が出てびっくりした。
「わあ、本物の鳥の鳴き声みたいですね。綺麗な音……っ」
「そうか、アイリーンには言葉じゃなくて音に聞こえるんだね。今の音は、薬草の案内を頼んだんだ」
「鳥の言葉がわかるなんて凄い……っ!」
ドラゴンの血を引くレオナード様は動物の言葉がわかると聞いて羨ましくなる。
「簡単な言葉ならアイリーンもわかるようになるよ。教えてあげようか?」
「えっ、いいんですか? あっ、でも……レオナード様はお忙しいでしょうから……」
魅力的な提案に気持ちが傾くけれど、王太子で生徒会もやっているレオナード様はとても忙しい。
「薬草鳥の案内がないと採取できない薬草があるよ?」
「え、ええっ?! あ、あの、やっぱりレオナード様の空いてる時間に教えてもらえますか……?」
「もちろん、よろこんで。言葉がわかるようになったら一緒に採取にいこうね」
私のためらいが頭の中から飛び去り、私とレオナード様は美しい音色の薬草笛をひとつずつ買った。
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