【3】

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【3】

 あれから一年が経つ。  もう一年。たった、一年……?  季節はまた、梅雨。雨続きの日々に気も滅入る。  だからこそ、たまの晴れ間は嬉しいはずなのに。  昨日の太陽の下でのデートも、仕方なく足を運んで共に過ごすだけの、「彼女として」の義務に成り下がっていた。  いつの間に、こんなに贅沢になってしまったのだろう。  翌日大学で捕まえて、久し振りに、……本当にいつ以来かと記憶を探らねばならないほど珍しく、早弓の方から賢人を遊びに誘った。  少し驚いた風に、それでも嬉しそうな彼。  今日も空には一応晴れ間が広がっていた。しかしあの日と同じ、予感がする。  大学から駅への道で、足元のアスファルトに一つ、二つ、あとはもう数えられない。あっという間に道路の色を変えて行く、雨粒。 「賢人! あたしの部屋に来て。今濡れたくないの!」 「あ、うん。そうだね、行くよ」  ──恵みの雨。こんなのすぐに上がるわ。通り雨、今だけの。だからこのタイミングも幸運ってことよね。 
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