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 ううん、『思ってる』だけじゃなくてそれが事実なんだよね。  ただすぐ傍に住んでるだけの、昔はべったり一緒にいて、いつの間にか疎遠になった幼馴染み。  こうして並べたら、呆れるくらい陳腐でどこにでもあるような話でしかない。  幼馴染みが特別な存在になる、なんて。  そりゃまったくないとは言わないけど、やっぱマンガの世界の出来事なのかもね。夏穂は正しかったよ。  あの子には今も感謝してる。バカなあたしの目を覚まさせてくれたこと。  大学は別になっちゃったけど、夏穂とは今もメッセージはやり取りしてるし休みの日には時々会ってた。  今も変わらず大事な友達。  あの時意固地になってたら、きっと何もかも全部失くしてたって今ならわかるもん。  本当にあれ以上、『顔も見たくない』くらい嫌われる前に立ち止まれてよかった。  少しぎこちなくても、いま一哉と顔合わせたら挨拶やちょっとした会話くらい交わせるのは間違いなく夏穂のおかげだから。  恋人にはなれなかった。これから先も、期待するだけ無駄だって理解してる。早く忘れなきゃ。  寂しいけど、友達かどうかもちょっと怪しい。  だけど、幼馴染みには違いないのよ。それだけでも残せてよかったと思ってる。  確かに楽しかったはずの過去まで、一哉の中でなかったことになったら哀し過ぎるから。
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