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「私だって友達にこんな言い方したくないよ。でもあんたは聞きたかったんでしょ? これでいい?」  夏穂は普段からなんでもズバズバ口にするタイプじゃない。むしろ穏やかで優しい子、だと思う。  今だって慰めてくれようとしたんだよね。せっかく気を遣ってくれたのに、あたしがつい余計なこと言っちゃって怒らせただけで。 「ごめん、夏穂。嫌なこと言わせちゃって。でも、なんで一哉と、……あの子のこと知ってんの?」 「何度か校内で二人でいるの見たことあるから。移動教室とか? でも、まだカレカノとかじゃないとは思うけどね。さすがにそこまではよくわかんない」  そんなのあたしは知らなかった。ホントに全然。  水島さんが好きなの? いつから? ……あたし、何も聞いてないよ?  一哉のことなら誰よりも近くで見ててよく知ってる、なんてただの思い込みだったんだってやっとわかった気がした。  ああ、そういえば。  特に中学くらいから、一哉はあたしに笑顔向けてくれなくなってた。気のせいだって思ってたけど、そうじゃなかった?  一緒にいる機会はどんどん少なくなって、話すことも減って……。  それはもちろん気づいてたけど、自然にじゃなくて一哉があたしと会わないようにしてたのかな。  考え始めたら次々面白くない事実が浮かび上がってくる。今までいろんなこと、必死で見ない振りしてだけだったの?  それでも長い時間掛けて築いた二人の関係は、何があっても変わらないと思ってた。あたし、『幼馴染み』に甘えてたのかもしれない。  だけどまさか嫌われてるなんて、いくらなんでもそんなわけないよね?   だってそんな、そんなの、──どうして。
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