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 仲のいい幼馴染みへの、ごく普通の態度だと思ってた。  悪気なんかまるでなかったよ。  ちっちゃいころから気心知れてて、互いに踏み込める関係だって信じてた。でもそれはあたしだけだった……?  確かに、ただのクラスメイト程度には絶対こんな態度取らない。男の子だけじゃなくて女の子にだって。  それくらい親しい、何でも許せる、許される間柄のつもりでいた。それもあたしの単なる勘違いだったってこと?   そこまで嫌がられてるなんて、今の今まで知らなかったのよ。何も見えてなかったことにあたしは初めて気付いた。  ああ、そうか。「好感度マイナス」って、これがきっと夏穂の言いたかったこと、なんだ。  もう七月だって言うのに、指先から凍えて固まったみたいに、身体が動かない。  あたしたちは幼馴染みで、ずっと一緒にいるはずだったのに。『幼馴染み』って言葉を絶対視しすぎて、特別な存在だと思い込んでただけなのかな。  自分の無力さに涙が溢れそうになる。  廊下の向こう端で、エレベータの扉が開いて誰かが下りてくる気配がした。同時に、それまでもずっと降ってたはずの雨の音が突然耳に流れ込んで来る。  金縛りにあったみたいに一人廊下の真ん中に立ち尽くしていたあたしは、どうにか足を動かしてすぐ目の前の自宅のドアノブを掴んだ。
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