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    ◇  ◇  ◇  数日後。  学校帰り、あたしは無意識に自宅マンションのエントランスで立ち止まって一哉との過去の出来事を思い返してた。  あんたなんて一人じゃ何にもできない。あたしが助けてやらないと、って押し付けがましい態度取って……。  好意持ってる相手ならまだしも、「家が近くて、縁切りたくても切れない」どうでもいいやつに威張って命令されたら鬱陶しいよね。  ──あたし、ずっと一哉に甘えてばっかだったんだ。幼馴染みってだけで、特別扱いされるのが当然だと思ってた。彼の気持ちなんて、全然考えてなかった。  一哉が見せた冷たい態度や言葉を思い返し、胸が痛む。  落ち着いて見たら、こんな女嫌われて当然だよ。自分でもそう感じてしまう。  そんなに時間は経ってないはず。いくらなんでも突っ立ったままボーッと一時間、なんてありえないから。  足音と気配に振り向くと、一哉があたしの方へ向かってくるところだった。  マンションの入口はここしかないんだから、あたしがいるから回れ右、ってわけにはいかないよね。  どうしよう、と迷ったのは一瞬。 「一哉、ちょっとだけいい?」  あたしは咄嗟に、無言でこちらに目線も寄越さず通り過ぎようとした彼に声を掛けてた。  一哉は少し驚いた表情を見せたけど、無視はせずに足を止めてくれる。  表情は強張って不機嫌そうだけど、ここで振り切ったっていつ顔合わせるかわかんないもんね。
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