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皇帝奪還後、後日談から
かつて超古大国家、神話国家と言われたカエサリオン時代。
崩壊の118年後、国土はあちこちで戦禍となり、国家が乱立。
数千年後という長き時の果て、国土を5つに分ける「5大国境ライン」の設立を時のロンバルディア皇帝が宣言、これに同調する形で東西南北と中央という5大国家が樹立。
ロンバルディア皇帝崩御後、一時期国境ラインが無くなるという異常事態が発生、中央国家は他4カ国に対し宣戦布告と侵攻を開始。
先代ロンバルディア皇帝が暗殺されるまで、5カ国には常に緊張感が走る事になる。
そして3年前の継承戦争後に即位したのが、ネルキメデス・ロレンツィオ。
ロレンツィオ家の3代目皇帝と言う事で、サード・ロレンツ、国家内ではネルキメデス3世とも言われる。
皇帝と言えば、威厳があり堂々として国家の象徴としてロンバルディアの都、ー帝都とも言われるー、エルディナの内部に存在する、居城から中央国家の内情を把握に努める。
故に警備は厳重にされ、そうそう内部に内通者がいない限り誘拐等早々は起きない。
が、実際は起きた。
もっと言えば、起きた挙句に操られ、本人の意思とは無関係に南部国家、オルフェリアに西部国家であり、宗教国家でもあるアルザスと共に挟撃しそうになった。
事の発端である人形師は、ある男に激しく怨みを抱いていた。
南部国家の皇帝、キカ・ミクリア。その父の代から支えるあの宮廷士官。
彼を出し抜いてやろうと思い、兼ねて犬猿の仲だったアルザスに赴き、ロンバルディア皇帝すら巻き込んで
人形師の中では今回が一番、2人の皇帝を同時に失脚させる機会だった。
それを色々改変した奴がいる。
あの南部の大商人が、色々と裏で改変したのは理解した。
人形師が大商人を信じないと同じく、大商人もまた人形師を信じなかっただけ。
別に人形師はそれで良かった。大商人なぞ、後から屠ればいい。
だが、その男が乗り込んでくる事は想定外だった。
ロンバルディア南部部隊に所属し、かつては侵略国家と成り果て、その名を各国に轟かせた挙句、忽然と消えたはずの男、ロンバルディアの鬼神殺しの異名を持つ、ロンバルディアの1隊長。
オーギュスト・ランコントル。
人形師は彼の怒りの鉄拳から繰り出された炎魔法を纏った拳を避けきれなかった。
避けたくても体が動かなかった。
彼の目は、異様な眼光を放っていた。
それを見ながら人形師の意識は炎と共にぶっつりと切れた。
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