新・赤い流れ星

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(な…なんだ…この光は……) なんだか赤っぽい光が僕の閉じた瞳に感じられたんだ。 (も…もしかしたら、これがカリスタリュギュウス流星群のパワーなんじゃ…) そんなことを考えると、僕は期待と不安で鼓動が速くなるのを感じた。 今まで僕は不思議な体験というものをほとんどしたことがない。 そんな鈍感な僕がなにかを感じているということで、僕の緊張はピークに達していた。 (こんなこと初めてだ…やっぱり噂は本当だったんだ! ……きっと、今、僕の身にはなにかが起きている。) 僕はますます固く目を閉じ、組んだ指に力を込めた。 目に感じる赤い光は、まるで僕に近付いて来るようにだんだん大きくなって来ているように感じられた。 それは、いつしかまるで燃え盛る火のようになり…… (……火……?) ふと、頭のに浮かび上がったその言葉が、僕の気持ちを不安にさせた。 (まさか…どこか近くで火事が起きてるんじゃ… いや、もしそうだったら音が…そうだ、誰も騒いじゃいないし、燃えるような音もなければ、こげくさいにおいもしないし、熱くもない… ……でも、僕は今までただの一度もこの手の不思議なことは体験したことがないんだ。 今度だって本気でなにか感じられるなんて思ってなかった。 やっぱりこれはパワーなんかじゃなく、なんらかの異変が起きてるんじゃ…) 心配になってきた僕は、唐突に目を開いた。 その瞬間、目の前の眩さに僕は咄嗟に顔を背けた。 外灯はあるとはいえ、暗いはずである夜中の公園が真っ赤に染まっていた。 僕は顔を上げた。 固く閉じていたことで、ピントのぼやけた僕の目に映ったものは、間近に迫った赤く大きなもの。 (い……い、隕石!!) 逃げなきゃ! そう思ったが恐怖で足がすくみ、立ち上がろうにも力が入らない。 しかも、真っ赤な隕石は、もう間近まで迫っていて… (もう、だめだ……) 僕は固く目を閉じ、本能から身体を丸めた。
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