新・赤い流れ星

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* 「杉本!杉本!」 誰かに肩を揺さぶられて僕が目を開くと、そこにいたのは先輩の北村さんだった。 最近、同じエリアの担当になった人で、多少暑苦しい所はあるけどなにかと面倒見の良い先輩だ。 「き、北村さん!」 「おまえ、こんな所でなにしてるんだ…?」 (あ…!) 「き、北村さん、隕石はどうなったんです!? 皆は大丈夫だったんですか? もしかしたら北村さんが僕を助けて下さったんですか?」 「隕石…っておまえ… もしかして、ここでサボって寝てたのか?」 「ぼ、僕はサボってなんか…」 (あ…あれ?) 僕はあたりが明るいことに気が付いた。 (どうなってるんだ? さっきは確か夜中の0時過ぎだったはず… それに隕石は? あの時、僕はもう逃げきれないと思ったのに、なんでなんともないんだ? 隕石にぶつかってなんともない筈がないし、このあたりにもまるで変わった様子はない。) 「さっき、このあたりをジョギングに来た社員が、ベンチで眠ってる奴がいるって教えてくれたんだ。 それがまさかおまえだったとは… どうしたんだ?こんなことするなんておまえらしくないな。」 日頃から存在感の薄い僕は、真面目だということだけを印象として受け止められていたようだ。 「ぼ、僕は、本当にサボってたわけではないんです。 あ、あの…休憩時間にちょっと風にあたりたくなって…」 「風にって……もしかしておまえ具合でも悪かったのか? 熱でもあったとか?」 「え……え……えぇ、まぁ……」 まさか、カリスタリュギュウス流星群が見たかったからだとも言えず、僕は北村さんの言葉に頷くしかなかった。 「そうだったのか…そんなことならなんで俺に言わないんだ。 きっとおまえが考えてたよりも具合が悪かったんだな。 頭は痛くないのか?」 「は…はい、そういえば少し痛いような…まぁ、我慢出来ない程ではありませんが…」 僕の頭は混乱はしていたけれど、痛くはなかった。 だけど、今は正直に答えてはいけないような気がして、僕はそんな嘘を吐いた。 「きっと、具合が悪すぎて気を失ってたんだな。 そうじゃなきゃ、おまえがこんな所でサボる筈ないよな。 だけど、こんな所で夜更かししたんじゃ、ますます身体が冷えただろう。 早く帰って今日は休め。 俺が、家まで送って行ってやるよ。」 「い…いえ、大丈夫です。 僕、一人で帰れますから。」 「遠慮すんなって。」 結局、北村さんは僕を家まで送り届けてくれた。
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