新・赤い流れ星

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* 「うわぁ、寝台車なんて初めてだ~!」 滅多に旅行なんてしないせいか、僕のテンションはアゲアゲだ。 わざとなのかどうかはわからないけど、レトロな旅だから、特に楽しいんだよな。 ガタゴト揺れる汽車に揺られながら、車窓の景色に感動したり、美味しいお弁当を食べたり、三人でババ抜きをしたり… 本当に楽しい旅行だよ。 そのうちに、山が近くなり、長閑な畑の風景が続くようになり、何度か乗り換えもして… 「さて、やっと着いたぞ。」 降りた所はかなり鄙びた田舎の駅だった。 「あ、ここで~す!」 下駄郎さんが車に手を振る。 「お待たせしたかな。 松屋旅館の者です。」 人の良さそうなおじいさんが降りてきてそう言った。 「どうぞよろしくお願いします。」 僕達は車に乗り込んだ。 どうやら、今夜泊まる旅館の送迎みたいだ。 田舎の道を20分くらい進んだ所に、松屋旅館はあった。 これまたとってもレトロな旅館だ。 「いらっしゃい。」 おじいさんの連れあいと思われるおばあさんが、もてなしてくれた。 「よろしくお願いします。」 通されたのは、畳の間だ。 エリカ達の部屋とは、襖一枚で仕切られているだけだ。 なんだか、気を遣うシチュエーションだな。
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