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「着きましたよ。」
早朝、松屋旅館のおじいさんが、僕らを山まで送ってくれた。
「ここをまーっすぐ進んだら、川に出ますからな。」
「ありがとうございました。」
「では、お気を付けて。」
話を聞くと、すぐみたいに思ったけど、なかなか川は現れなかった。
木々がたくさん立ち並び、まさに、森だ。
「ここは、通称『河童山』と呼ばれる山でな、河童の声を聞いたとか、姿を見たという話が良く聞かれる場所なんだ。」
「そ、そうなんですね。」
ついに、河童に会えるのか?
ずっと憧れてた河童に…
わくわくで、胸が弾けそうだ。
辺りは肌寒いくらいなのに、僕達は山歩きでうっすら汗をかいていて…
「あ、川だ!」
ようやく川がみつかった。
透き通ったとても綺麗な川だ。
「この川の周りが、一番目撃例が高いんだ。」
マ、マジっすか~?
ついに、河童が見られるのか!?
「……あ、今、何か……」
エリカが小さな声を発した。
耳をすませると、川のせせらぎ以外に何か音がする。
ヒュンヒュンみたいな変わった音だ。
(……あ!)
確か、おばあちゃんが言ってたな。
河童はヒュンヒュンって鳴くって。
じゃあ、これって…
声の聞こえる方に目を凝らす。
い、いた!か、河童がいたよ!
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