新・赤い流れ星

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(わぁ……) 河童だ。 本当にいたんだ。 おばあちゃんが子供の頃から、いや、もっと昔からいた河童が、今もなお、いてくれた。 そんなことを思ったら、なんだか目頭がじんわりと熱くなった。 今の日本には、河童が住める場所はだいぶ少なくなっただろうけど、でもまだいてくれたんだね。 「テル、あんまりしっかり見るなよ。 俺達が見えてることは、河童には内緒だ。」 「は、はい。」 僕たちは河童の方に歩いて行った。 河童も僕らの方に来るから、どんどん近付いてきて… わぁ、やっぱり頭には皿があるぞ。 背中には大きな甲羅。 身長はあんまり大きくはないな。 よく見たら、割と迫力のある顔してるな。 ある意味、端正な顔立ちだ。 ちらちらと河童を覗き見た。 けっこういるな。 20匹くらいはいる。 あ!ちっちゃいのが1匹いるぞ。 あれは、子供なのかな? うわぁ、画像撮りたい! でも、きっと映らないだろうな。 現に、河童は妖怪が見える者にしか見えないんだから。 あ、エリカがスマホで映してるぞ。 いや、だから、無理だって。 なにも映らないよ、きっと。 そのうちに、川辺の河童達はかなり近くになり、そのまま上流の方へ歩いて行った。
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