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「私は長南生命科学研究所の所長。名前は、まあ、”生命君“とでも呼んでくれ」
ネーミングセンスがゆるキャラのそれ。俺は「はあ」と間抜けな声を漏らした。
「こんな形の会話で済まないね。私は潔癖症であまり人と直接話をしたくないんだ。なんか唾飛んできそうで」
それは百歩譲って良いとして、デスゲームの主催者みたいな声で喋るのは何故です?
「それはともかく」と生命君は咳払いをする。「平津君に頼みたいことがある」
「はあ、何ですか」嫌な予感しかしない。
「菱沼社長の宝物を引き取ってもらいたい」
「宝物?」
「君が片付けたバイオノイド、まだ引き取り手が決まっていないのだ」
「は?」要求を理解した俺は声がひっくり返る。「あの筋肉ダルマを?俺が?」
「筋肉ダルマ言うな。まあそうだけどさ」
「無理無理。無理です。あんな体積デカい生体俺のアパートじゃ狭すぎます」
「もちろんタダでとは言わない」生命君が言った。「飼育費用として菱沼社長の遺産を分けよう」
「ちなみにいくらです?」
「三十五億」
「ブルゾンちえみ」
「あと五千万」
「やはりブルゾン」
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