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「社長のバイオノイド引き取ったんだってな」 「ああ、何故か」 「ペット休暇取ったら?」  俺は「あー」と呟き「ヒト型でもペット休暇取れるのかな」と首を傾げた。生命科学分野を扱う企業のためか、この会社にはペットに関する休暇がいくつか用意されている。ペットを病院やトリミングに連れて行く際に取得するペット休暇、ペットが亡くなったときに使えるペット忌引などがある。俺は使ったことないけど。 「昨日来たばっかりなんだろ。今日も早く帰ったら」 「ヒト型だぞ。そこまでやらなくても」 「ヒト型だけどヒトじゃないだろ」岸は「俺実家におばあちゃん犬いるんだ。同じ哺乳類だろ。気になってさ」 「へえ」と俺は呟き「わかった。早めに帰る」と返した。  そうは言ったが現実は上手くいかない。結局日が暮れてからコンビニで夕飯を買って帰宅した。部屋には電気が点いていなかった。寝てんのかな、と思いながら部屋に入った。少しムシムシした空気が俺を包んだ。  電気を点けると窓際に床で蹲るタカラの姿が見えた。慌てて靴を脱ぎ駆け寄った。俺がタカラの背中に触れる前に彼は顔を上げた。目の周りが真っ赤だ。 「メダカちゃん動かない」 「メダカ?」
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