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 昨日買ったパンをタカラに食べさせてから俺は部屋を出て大家の元へ向かった。バレてからいろいろ文句を言われるのも面倒なので同居人のことを報告しておこうと思ったのだ。大家は近所の一軒家に住んでいて、時間を問わず大体は家にいる。俺が部屋番号と名前を告げると「ああ、長南さんね」と言われた。やはり大企業。長南で働いている人、というイメージがついてしまっている。 「俺の部屋にもうひとり住むことになったんで、手続きとか必要なのかなと」 「ああ、それなら」と大家は一度家の中に引っ込んで紙を一枚出してくる。「これに書いて。あと免許証なりマイナンバーなりのコピーを」 「あー、えっと」俺は書類に目を通しながら口を開いた。「苗字って必須ですか」 「苗字ない人いないでしょう」 「バイオノイドなんです、うちの会社の」 「ニュースでやってたやつ?」 「多分それです」  長南生命科学研究所のバイオノイド開発はそれなりに有名だ。尤もバイオノイドの研究は長南に限った話でもなく、もうひとつ長南よりは小さな企業もバイオノイド分野に手を出していて、お互いしのぎを削っている。が、まあ今この話は関係ないか。大家は「参ったな」と呟き再び家の奥に引っ込んだ。次に出してきたのは「ペット飼育申請書」と書かれた書類だった。
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