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 賢者タイムより先に眠気が来てしまった。タカラが俺を抱き締めるように隣に寝転がるのでますます心地が良くなってしまった。筋肉布団、悪くない。思いの外柔らかいのはバイオノイドだからなのか?筋肉に包まれたことがないのでよくわからない。  翌日は激しい音で目が覚めた。ものすごい勢いで部屋のドアが開けられた。「お邪魔しまァす!」という聞き覚えのない声とバタバタ床を駆ける音。上体を起こすと声と同様見覚えのない顔が見えた。お洒落を度外視した短くしただけの黒髪に、お洒落を度外視した実用的でしかない黒縁眼鏡。「誰?」と俺の口から漏れた声は見知らぬ男の「あああああ!」という叫びにかき消された。胸倉を掴まれグラグラ揺さぶられた。 「なァァァにやってんだおめェ!どごまでやった?挿れたが?挿れたのっしゃ?」 「いや誰?まずおまえ誰?」  俺の話は全く聞いていない。男はタカラを揺さぶって起こすと「駄目だろタカラァ初めては好きな人に取っておけって社長があれほど」
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