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「多分そういう発想なんだろうね」テンテン君は小さく頷き「で、社長はタカラをかなり甘やかしていた。宝物なんて言い始めたのもその頃で、あと、まあ、ええと」
「いきなり吃るといろいろ怖いな」
「社長が急に僕にこの話を振ったのはたまたまその時同じ研究室にいたからなんだが」
「何その前置き」
「タカラにオナニーさせたらどうなるかなあって言い出した」
コーヒーを噴き出しそうになった。かなり突飛な発言なのに、社長の声で脳内再生はナチュラルにできた。
「最近はセルフプレジャーとか言うらしいよ〜、自己肯定感が高まるんだってさ、と」
ヤバい、脳内再生余裕。
「性犯罪防止の観点からって話だけど幼児期から性教育を始めるのも世間に浸透しつつあるしね、やってみようかな〜」
「社長のモノマネ上手いな、やっぱりおまえにタカラをお返しする」
「このモノマネで一生やっていけって?」テンテン君が顔を顰める。「とにかくそういうわけでタカラはエッチになっちゃったんだよ。完全に育成失敗だ」
「依存症的な?」
「専門家じゃないからわからない。ただ、やっぱりちょっと異常だよ。童貞の僕から見ても」
「童貞なんだ」
「ま、平津君にもタカラにもお別れの時間が必要だろ」とテンテン君がスマートフォンの画面を俺に見せる。「ふたりでゆっくりして行きたまえ」
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