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 俺は包みを開いてきな粉のかかった餅に黒蜜をかける。串で混ぜるのを見てタカラも真似をするがきな粉がボロボロ溢れている。黒蜜をまんべんなく餅に付けるのは至難の業だが味のグラデーションを楽しめるのであまり気にしない。 「死んだメダカちゃんはエビちゃんに食べられてどうなるの?」とタカラが言って信玄餅を一口食べた。 「エビの糞になって、それをタニシが取り込んで、それも糞になって、微生物が分解して。最終的には大家さんの庭に水として撒かれるよ」 「それで?」 「その後は、まあ、庭の植物の栄養になったりするんじゃないのか。その後はその植物も枯れて土に還ったりして。もうクロメダカだったことも忘れるくらいいろんなものになってくんだと思う」 「タカラもそうだったのかな」 「タカラはバイオノイドだけど、全く何もない所から造るわけじゃないし、きっと何かの生き物から栄養をもらって生まれたんじゃないかな」 「タカラも死んだら食べてもらおうかな」 「誰にだよ」  タカラは何度か首をひねると俺を見つめて「食べてくれる?」と訊ねた。 「タカラの方が若いんだから多分俺の方が早く死ぬよ」 「じゃあタカラが食べればいいね」 「そこだけ聞くとサイコだな」
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