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突然出てきたライバル会社の話に俺は現実に引き戻されたような気分になった。PDFを閉じて再びメールをチェックした。
「変身するバイオノイドだってさ。仮面ライダーじゃんって」と岸が大きく腕を振る。仮面ライダー1号の変身ポーズである。俺はそれを尻目にメールを読んだ。再び現実がぼやける。
「昆虫の変態から着想を得たメタモルフォーゼシステム？」
「な、やべーだろ」
「餌は何食べるんだろうな」
「出た、平津的思考」
「ちょっと訊いてみようかな」
「星口に？」
「タカラの育て方のヒントもありそうだし」
「あー、そういう？」
「連絡先は本社でいいのかな」
「バイオノイド作ってんのは東北支社らしいぞ」
「へえ」
公式サイトに記載された見慣れぬ市外局番。俺はデスクの上の電話から受話器を取った。「なんか楽しそうだなおまえ」と岸が苦笑する。「バイオノイドのブリーダーとかやれよ、もう」と。
確かに、俺はそういうのが向いてるかもしれないなと思った。呼び出し音が鳴る。
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