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「そうだ。平津頭下げてろ。死んだ振りしてねえとやられっぞ」  岸に言われるがままに身体を低くした。「一体引き取ったって話は聞いてたんだけど、ヒト型とはなあ」と顔をしかめる岸。俺はようやく理解した。狂暴なペットがなかなか別荘から出ないということか。めんどくさー。  本日何人目かの犠牲者が投げ飛ばされた。岸に覆い被さるように倒れた。岸が「ぎゃっ」と声を上げた。俺は思わず身体を起こして倒れ込んだ男を引きずり岸を助けた。ふと顔を上げると筋肉ダルマと目が合った。金髪のツーブロック。Tシャツ越しでもわかる、がっしりした体躯。筋肉ダルマの緊張が一瞬だけ緩んだ。「じいじ」と声を溢した。 「今だ」と身体を起こして走り出したのは岸だ。それに続くようにあらゆる部屋から社員が飛び出す。男数人の体重を一気にかけられた筋肉ダルマは流石にすぐ抵抗ができなかったようだ。膝を折ってその場に頽れた。 「じいじ、じいじ」  筋肉ダルマが声を上げる。俺は唖然としながら思った。じいじって俺のこと?
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