俺の生き様

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それから、数日。 善左衛門との暮らしは楽しい。 俺は現代のものを色々と教えた。 それを、善左衛門は面白そうに聞く。 だが……ある日、俺が持ってきた拳銃も見られてしまった。 「悠哉、これは?」 「それは………人殺しの道具だ」 「え……あ、ああ」 動揺する善左衛門。 「悪い。別に此処で使うつもりはないんだ。ただ、俺の職業で使うんだ」 「職業?」 「俺は……殺し屋だ」 言うつもりも、愛銃を見せるつもりもなかった。 「俺の彼女は、あるヤツに殺されかけたんだ。今は……ずっと眠り続けてる」 機械と線に繋がれた彼女。 ある男に、暴力を振るわれて全身傷だらけ。 手術は何時間にも及んだ。 手術は成功した、だけど……。 病室に入れば、眠り続けてる彼女。 包帯が巻かれ、痛々しい姿。 美友、呼びかけるも返答はない。 「俺は、彼女を襲ったヤツを探すために仕事を辞めたんだ。そして、同じ業界に入ったんだ」 死んではないが、死ぬかもしれない。 そう言われて三か月。 『何とか、落ち着きました。ですが……このまま眠り続けてるのも危ないです』 そう医師は苦し気に吐き出した。 美友は大丈夫なのだろうか。 繋がらない携帯電話。 時空を超えた俺。 夢物語ではない。 これが、現実なんて信じられないけれど。 間違いないのだから仕方ない。 「悠哉……無理はするなよ」 それしか言いようがないよな。 「ああ」 「……この銃とやらも、珍しいな」 「この時代に、ポルトガルっていう国から火縄銃ってやつが伝来するんだ。まだ先のことみたいだけどな」 「火縄銃か。まだ聞いたことないな」 「それが、活躍するんだ。信長サマが勝利してな」 「ほう………」 本当は、こういうコトを伝えてはいけないのかもしれない。 だけど、俺はいきなりタイムスリップさせられた。 禁止事項を伝える奴はいない。 現代の金銭を見せたり、携帯を見せたりしても何かが変わるわけじゃなかった。 つまりは、未来を話しても問題ないだろう。 善左衛門は、心底驚いた顔をしている。 「なあ、悠哉」 「んー?」 善左衛門の顔が、イタズラっ子のようになる。 イタズラな笑み。 「お前は、面白い男だ。信長様にあわせてみたい」 「は?」 どうやって。 いち農民があえる男なのか?
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