雨上がり、僕はいつも涙。

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「お前の先輩、既婚者と付き合ってたな。不倫かよ……」 店の仲間たちが僕のところに集まっては先輩の話をする。 お客様の噂話など、本当はしてはいけないことなのだが、そんな話が出てしまうほど、先輩は他の男性からも魅力的に映ったのだろう。 「そうみたいですね。僕も、知らなかった……。」 知らなかった、というよりも『知ろうとしなかった』が正しいだろう。 僕は先輩の卒業式の日に渡された連絡先に、一切連絡をしなかったのだから。 もし、連絡を取り合っていれば、今の彼氏のことも知ることが出来ただろうし、もしかしたら既婚者と付き合うこともなかったかもしれない。 僕が知っていたら、止めていただろうから。 その後、先輩は夕食を終え、彼氏と仲睦まじく退店していった。 「また来るね。キミがいるなら来やすいしね。」 そう笑顔で店を後にする先輩の姿を、僕は複雑な心境で見送った。
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