雨上がり、僕はいつも涙。

14/20

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
それからも、先輩と彼氏は店に来た。 少しずつ頻度が減り、少しずつ会話が減っていった。 その頃、僕は先輩に異変を感じていた。 梅雨時期の蒸し暑い日が続く毎日。 そんな中でも先輩はいつも長袖だったのだ。 僕が覚えている限り、先輩は長袖が好きなわけではない。 ノースリーブや半袖の私服をたくさん持っていて、そのどれもよく似合っていた。 夏の先輩の姿は、キラキラしていた。 だからこそ、不自然だったのだ。 ずっと長袖を着て、無理に笑顔を彼氏に見せようとしている、そんな先輩の姿が。 「ご馳走様。いつも美味しいからこの店、好き。」 お会計の時、いつも私に微笑みかけてくれる先輩。 「先輩、今度は一人で来てください。休みの日でも、僕……出てきますから。」 そんな先輩に、僕は勇気を出してそう言った。 今のままで、先輩は幸せなのだろうか? このままでいいのだろうか? それが、知りたくて。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加