雨上がり、僕はいつも涙。

17/20

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
辛かった。 でも、そんなことはどうでもいいと思った。 このままでは、先輩の方がずっと辛くなる。そう思ったから。 「彼氏さんのことは知りません。でも、今は先輩のことを大切にしていない。それだけは分かってしまった。」 「まだいうの!?」 もう一度、先輩が右手を振り上げる。 僕は避けるでもなく、先輩の手首を掴んだ。 「僕は何度殴られたって構わない。でも、先輩を殴る奴は……僕は絶対に認めないし、分かろうとするつもりはない!!」 そのまま、僕は先輩の着る長袖の袖を捲った。 「やめて……。」 振り払おうとする先輩。 僕は必死に先輩の手首を掴んだまま、袖を完全に上げた。 先輩の腕は、痣だらけだった。 「彼氏さんから暴力を受けている。そうですね?」 僕が言った途端、先輩はぽろぽろと涙を零した。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加