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辛かった。
でも、そんなことはどうでもいいと思った。
このままでは、先輩の方がずっと辛くなる。そう思ったから。
「彼氏さんのことは知りません。でも、今は先輩のことを大切にしていない。それだけは分かってしまった。」
「まだいうの!?」
もう一度、先輩が右手を振り上げる。
僕は避けるでもなく、先輩の手首を掴んだ。
「僕は何度殴られたって構わない。でも、先輩を殴る奴は……僕は絶対に認めないし、分かろうとするつもりはない!!」
そのまま、僕は先輩の着る長袖の袖を捲った。
「やめて……。」
振り払おうとする先輩。
僕は必死に先輩の手首を掴んだまま、袖を完全に上げた。
先輩の腕は、痣だらけだった。
「彼氏さんから暴力を受けている。そうですね?」
僕が言った途端、先輩はぽろぽろと涙を零した。
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