雨上がり、僕はいつも涙。

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「殴られたって……蹴られたって、別れたくなかったんだ。あの人のこと、好きだったんだよ……。」 長袖を脱いでくれた先輩。 その腕に、肩に、無数にできた痣。 それがどれほどの暴力を受ければ出来るものなのか、僕には想像も出来なかった。 先輩は彼氏とのことを話してくれた。 当初は僕が見たままの、楽しくて仲の良い関係だった。 しかし、先輩が結婚したいと言った日から、彼の態度は豹変したらしい。 別れたくないと付き従う先輩の存在を良いことに、暴力を振るい暴言を浴びせる日々に変わったそうだ。 「一回り以上も若い女だし、遊ぶのには丁度良かったんだろうね。暴力や暴言が原因で私が別れを切り出せば、それはそれで清算になる。私はもう用済みなんだよ。」 泣きながら、先輩が言う。 「でも、今あの人に離れられたら、私は一人ぼっちだ。もう、私のことを輝いてるって言ってくれる人には会えないかも知れない……。」 僕は、先輩の肩に先輩の長袖をかけた。 「僕は、高校生の時からずっと、あなたのことを見てきた。あなたは依然と何一つ変わらない……輝いてる人だと、僕は思ってます。」 本当に、無意識だった。 気が付くと、僕は先輩にそう言ってしまっていた。
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