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先輩の答えは、僕が予想していないものだった。
いや、今思えば、よく考えればわかったことなのかもしれない。
部活が終わると、そそくさと支度をして一番先に帰っていた。
部の仲間からの寄り道の誘いは、いつも断っていた。
日曜日の部活は、時々休んでいた。
思い当たる節は、いくつもあった。
それでも、僕は先輩が好意を寄せてくれている、そう錯覚したのだ。
『彼氏がいる』そう言われてからは、先輩のこれまでの行動にも全て納得がいった。
僕とは変わらずに接してくれたけれど、僕はそれが好意ではなく、後輩として優しく接しているだけだったのだと気づかされた。
それでも僕の心の中で、先輩に対しての想いは消えないままで……。
ある日の雨上がり、学校の昇降口で自分に向けたことの無い笑顔を彼氏に向ける先輩を見たとき、僕は人目をはばかることなく、泣いた。
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