雨上がり、僕はいつも涙。

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それは、あまりにも呆気ない再会だった。 近所に実家があるのに、生活費を仕送りに頼ってなどいられない。 そう思った僕が始めた飲食店のアルバイト。 講義が終わった夕方から夜間にかけての仕事で、職場は半個室の雰囲気の良いお店。 人気店らしく時給もよく、待遇も良い。賄いもある。 一人暮らしの学生にとっては、天国のようなアルバイト先であった。 真面目にコツコツと。 それが僕の信条だった。 それは大学生になっても変わらず、僕はコツコツと仕事を覚え、そして社員からも評価されていき、短期間で時給も上がった。 「もう、バイトとか関係なくフロアリーダーやってもらってもいいくらいだな。」 「調理補助も出来るんだから、こっちに下さいよ。」 嬉しい声が社員たちの間であがり始めた、初夏。 「あ……久しぶり。」 先輩が、偶然来店したのだった。
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