3人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
先輩も驚いていたが、僕も驚いた。
そう、時間が止まったかと思うくらいに。
「この街にいたんだ……。なんだ、いるなら連絡くれても良かったのに~」
先輩は、昔と変わらない様子で、僕の顔を覗き込みながら苦笑いを浮かべた。
良い匂いがする。
髪の色も、少しだけ明るくなっていた。
化粧も、よく似合っている。
目の前に立つ女性は、すぐに先輩だと分かるほど変わらずに、ずっと女らしく変わっていた。
「僕も……知らなかったから。先輩がこの街にいるの……。」
あの時は、先輩に彼氏がいたから、連絡すると惨めだと思って連絡をあえてしなかった。
あれから3年、先輩はその時の彼氏とずっと仲良く付き合っていると思っていた。
「まぁ、いろいろあってね。」
「今日は、何名様ですか?」
「あ、2名。彼氏と来てる。」
僕の脳裏に浮かんだのは、あの日先輩が僕に見せたことの無い笑顔を向けていた、あの先輩だった。
「ごめん、お待たせ……。」
「遅いよ、もう……」
しかし、先輩の後から入ってきた『彼氏』は、僕が今まで見たこともない男性だった。
最初のコメントを投稿しよう!