僕の罪と君の記憶

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 美術館巡りをしたときに和也が気に入って買ってきたカップは、久しぶりの主人との再会を楽しんだのだろう、心なしか色が鮮やさを取り戻したように見えた。  僕の心も、少しだけ憂鬱で、少しだけ晴れやかだった。ひとつは孤独になった自分に対して、そしてもうひとつはもとの正しい人生を歩むであろう和也に対しての感情だ。 「……引っ越そうかな」  この家はひとりで暮らすには広すぎて、そして和也との思い出が多すぎる。  そんな感傷に浸っていると、インターホンが鳴った。 「はい……和也?」  カメラに映し出された見知った顔に驚いていると、和也は申し訳なさそうに言った。 「諒さん、ごめんなさい、ちょっとお家に入れてもらっていいですか?」 「……あがってきて」  オートロックを解除して、それから部屋を見回した。特に彼の忘れ物といったものはないようだ。では、一体何の用事で?  戸惑ううちに、家のチャイムが鳴った。僕が玄関を開けるより早く、施錠したはずのドアががちゃりと音を立てて開いた。 「……和也?」 「ああ、やっぱり、これ、ここの鍵だったんだ」
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