僕の罪と君の記憶

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 それなりに長く美術というのに触れたが、まだ僕は美術というものがよくわからないし、まともに絵も描けない。しかし、僕は筆が走る音が好きだ。絵の具の匂いが好きだ。和也がキャンバスの前でいきいきを筆を動かすのが大好きだ。そして何より、和也のきれいな瞳を愛している。  もともと、和也は女性が好きだった。その事実は僕をたびたび苦しめた。和也がかわいい同級生に目をやったり、女友達ができたと聞いたりしたら気が気でなかった。  僕は何度も和也に愛を囁いた。 「君が好きだ」「君の絵が好きだ」「愛してる」  ずっと僕のものであってほしかった。  初体験は18歳のときだ。  夕焼けよりも赤くなった和也と、和也の部屋でつながった。その日のために僕はたくさん調べた。和也も勇気をもって僕を受け入れてくれた。  和也のお尻から僕が放った精がたらりと垂れて、シーツに落ちる。  和也は恥ずかしそうにそれを隠して、それから枕に顔をうずめた。  かわいいなぁ、と思って、そのまま二回してしまった。初めてで苦しかっただろうに、和也は文句を言わなかった。いじらしい和也のことがもっと好きになった。
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