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和也の声が一層高くなる。
「ぐ…あぁ、和也!」
「あああああっ!!!諒!諒!!」
僕と和也は同時に果てた。
*
僕たちはなし崩し的に以前の生活に戻っていった。最初は和也が僕の家に入り浸りはじめただけだった。そして、僕が家にいない間の暇に耐えかねて、和也は大学にも顔を出すようになった。
登校を再開した数日の間は、和也は好奇の目にさらされていたが、それも数日すれば消えていった。
つまり、元通りだ。
以前通りにいかないのは和也の勉強面だけであるが、和也の寛大な両親はひとまず今期は授業に出ることを目標に、今年は留年してもよいといってくれている。
ありがたいことだ。
そうして穏やかな日々を送っていると、あるとき和也の落とした欠片が戻ってきた。
「思い出した」
「なに?」
キッチンに並んで洗い物をしているときだった。和也は右手に皿を持っていて、左手にはスポンジを持っている。そしてぎぎぎ、と油のさしていない機械人形のようにこちらを見てこう言った。
「諒、お前! 浮気してただろ!」
「浮気? 何の話?」
あまりに唐突な話に、素っ頓狂な声が出た。和也は真剣な目で続けた。
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