僕の罪と君の記憶

24/25

17人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
「証拠があるんだぞ! お前が他の男とハグしてる写真!」  和也はすばやく手を洗い流すと、スマホを操作して画面を突き付けてきた。  そこには、確かに僕ともう一人がタクシー乗り場でハグしている写真だった。隠し撮りのようなその写真は、見ようによれば、恋人同士がデートの終わりに別れを惜しんでいるように見えなくもない。角度的に相手の男の顔は見えないが、背中一面に髑髏の刺繍が入ったド派手なファッションだ。僕はこの服装の人物に心当たりがあった。 「これ! 見ろよ! 日付は俺が事故にあった日! あの日、俺、見たんだ!」  和也が言い募る。  ——なるほど、この写真が原因か。 「……」 「……なんか言えよ」  僕はため息のあと、観念して相手の正体を吐いた。 「……これ、父だ」 「え」 「ほら、これ。家族旅行のときの写真だけど、同じ服を着てるだろう」  僕もスマホを出して、父の写真を見せた。写真には派手なピンクのジャケットを着た母と、髑髏刺繍のスカジャンを着た父がポーズを決めている。 「ななな、なんで親父さん」 「いま、父は若者ファッションに夢中なんだよ……」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加