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そこまで和也が僕に赦してくれてもなお、僕の不安は消えることはなかった。脳の中にこびりついたそれはいつも僕に囁き続けていた。
「和也の人生を壊したのはお前だ」「和也は女が好きなのに」「お前のせいで」
僕は気が狂いそうだった。
不安はやがて罪の意識に変わった。
なぜ、和也を愛してしまったのか、なぜ和也に愛を伝えてしまったのか、なぜここまで思ってもなお和也を手放さないのか。
不安定になって底知れない恐怖の沼にずぶずぶと落ちていくと、いつも和也が手を差し伸べてくれた。
「諒、大好きだ」
彼の涼やかな笑顔が唯一の僕の救いだ。彼の笑顔がこちらに向く間だけ、僕は正気を保っていられた。
僕たちはそのまま同じ大学に進学した。
そのとき、僕の両親は父方の田舎に引っ込み、一人暮らしを始めた。
和也は僕のマンションに入り浸るようになっていった。僕が住んでいるマンションは1人で住むには広すぎる。このまま、なし崩し的に和也と幸せな同棲生活でも始めようか、と思っていた矢先に、悲劇が起きた。
その日、和也は僕の部屋にやってくると、急に僕を責め立てた。
「諒のバーカ!」
「な、なんだ急に?」
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