僕の罪と君の記憶

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 なにもこんな雪のなかで待っていなくとも。  和也は首を傾げた。 「俺って、諒さんの連絡先持ってるんですかね? スマホのデータを探したんですけど、それらしいのがなくて」  和也の言葉に僕は目を見開いて、それから、嘘を吐いた。 「こないだ、スマホを落としてね。それで、全部アカウントから新しいのにしたところだ」  和也が差し出している紙袋を受け取ろうとして、和也の手が冷えて赤くなっていることに気が付いた。 「あがっていくといい」  紙袋を受け取らず、そのままマンションのオートロックを解除する。和也はしばしためらったあと、僕のうしろについてきた。  部屋に入り、エアコンをつける。マフラーを椅子の背もたれにかけて、コートをソファに放り投げた。家の鍵を置くと、つけているチャームがじゃらりと音を立てた。  後ろを見ると、和也が玄関で靴を脱いでいるところだった。彼は几帳面に靴を並べて、それから「おじゃまします」と声をかけて入ってきた。  僕はゆっくりと息を吐いた。  和也はいつも何も言わずに入って来ていた。靴も散らかして、どたどたと階下に配慮しない足音を立てて、それから——比べるな。やめろ。
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