不義の澱

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 それ以来、アルスカはずっと苦しかった。アルスカはガラ国の出身ではない。ケランへの愛のためにこの国にやってきたのだ。その愛が枯渇したことにより、異国の風はより冷たさを増した。  その苦しみは筆舌に尽くしがたい。抉られた魂が痛み、炎に炙られて心が泣く。それでもアルスカは平静を装い、恋人と唇を重ね、体をつなげることもあった。それは彼がこの現実を受け入れていない証拠でもあった。  やがて魂のみならず、体が悲鳴を上げだすと、ようやくアルスカは裏切りの意味を理解した。  アルスカは急に食べ物が食べられなくなった。彼は何度も吐き、えずき、生理的な涙を流して苦しんだ。彼は自暴自棄になった。酒でパンを流し込み、大声を出して、家に寄り付かず、ときには道端で寝ることもあった。  そうして自分を追い込むうちに、ふと彼は正気を取り戻した。  荷物をまとめて家を出る。アルスカは一度だけ家を振り返った。荷物をまとめているときは、無様に泣きはらした目をしてこの家を離れるのだと思っていたが、それは杞憂に終わった。
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