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エルドラは助けてくれた日、私達は前世で出会っていると言っていた。
前世の私が助けてとお願いしたことも、本当なのかもしれないと思う。
魂がエルドラを覚えている。
エルドラの側は、こんなにも落ち着く。
「ねえ、貴方は何年生きているの? 私の前世を知るということは、少なくとも数百年?」
エルドラは天を仰ぎ、少しだけ考えて、ゆっくりと答える。
「明確に数えたわけではないが、およそ五百年は生きている。この体には竜族の血が入っているから、何事もなければ千年は生きる」
「なら、私がおばあちゃんになって天寿を全うしたら、次の私も貴方に会うかもしれないのね」
人間の命は長生きでも百年。
私の死後、この人はまた途方もない時間を一人で過ごすのかしら。
そう思うと胸の奥が痛む。
エルドラの、冷たい腕のなかに閉じ込められる。
心音が大きくなる。
懇願するように、エルドラは強い声で言う。
「年寄りになるまで長く生きたいなら、魔法を使ってくれるな」
「なぜ? 人間はみんな、治癒魔法を使わせたがるのに」
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