冷遇された聖女は孤高な魔王の寵愛で甘く溶かされる

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 物音に気づいた男が鉄格子を開けて駆け込んできた。 「な、な、な、な!! ま、魔族!? 魔族が聖女を奪いに来たというのか!? ええい、衛兵、衛兵! 早く来い、あいつを倒せ、聖女を捕まえろ!! 弓兵をつれて来い!」  慌てて剣を抜き、怒鳴り散らしているけれど、ここは空の上。  人間の手は届かない。石を投げたくらいじゃ届かない。  翼を持たない人間では、エルドラを捉えることなんて不可能。  なんて楽しいのかしら。  エルドラが空高く舞い上がっていく。  景色がどんどん流れていって、わくわくした。  もう誰も私を捕まえられない。  泣きたくなるくらい嬉しい。 「ありがとう、エルドラ。本当に助けてくれるヒトなんて初めてよ!」 「約束、だからな」  こともなげにいう。  エルドラというヒトは魔族の敵であるはずの聖女との約束すら守るような、律儀なヒトらしい。
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