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こうして私は、エルドラに連れられて魔族の国に移住した。
自らの意思でどこかに行くのは初めてだ。
初めての選択は、私をどこへ導くだろう。
エルドラが魔王城の一室を与えてくれて、そこに住むようになった。
手錠はないし、自由に外に出られる。
しかも魔法を使えと言われない。
使用人のみんなも優しくて、高待遇すぎて気が引ける。
こんな、争いのない穏やかな時間をおくったのは、たぶん幼い頃以来。十数年ぶり。
お世話されるだけの日々は、私には合わないみたい。
「ねえ、私に何かできることはある? 手伝えることがあるなら言ってほしいわ」
朝、食事を運んできてくれたうさぎ獣人の侍女に聞いてみる。
侍女はふさふさの耳を揺らして答える。
「貴女の望むまま、お好きなように過ごしていただいて良いのですよ、サラヴィエ様」
「その、好きなことが何かわからないの。自由になれたのは初めてで」
人の傷を癒やし病を癒やす、それしか求められて来なかった。
私は自分に何ができるか知らない。
だから、学びたかった。
これまでの、しかたなくやらされてきたものでなく、自分の意志でやりたいと思えることを探したい。
「わたしでは決められないので、陛下に直接お伺いを立ててはいかがでしょう?」
「そうするわ。ありがとう」
確かに、侍女では勝手に仕事を割り振れない。提案されるまま、エルドラの部屋を訪ねた。
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