意地っ張り魔法使い、X回目の人生でも臍を噛む

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 行為のあと、レオルゴールは気だるい体を起こしてケントガランに向き直った。  体をつなげたことで、彼は余計にケントガランと別れ難く感じていた。だからこそ、真実を話さなければいけないと思った。 「……伝えないといけないことがある」  レオルゴールは自分の身が不思議な時の迷宮に閉じ込められていることを語りだした。  しかし、ケントガランはそれを遮った。 「なんだ、そのことか。心配しなくていい。もう、時は戻さない」  その言葉を聞いて、レオルゴールは脱力した。ケントガランは悪い笑顔を向けている。  なんということはない、ケントガランがレオルゴールと恋仲になることができるまで、ひたすらに時を巻き戻し続けていただけなのだ。 「許してくれるだろう? 君なら、天才ゆえの孤独を理解してくれるはずだ」  ケントガランにしてやられたことを理解して、レオルゴールは臍を噛んだ。
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