意地っ張り魔法使い、X回目の人生でも臍を噛む

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 レオルゴールはこれまで繰り返してきた人生で、飽きるほどそれを見せつけられている。レオルゴールがどれほど罠を張り巡らせようとも、ケントガランはその上を行く。  ある時は野盗を操り幼少期のケントガランを葬ろうとし、またある時は王族の婚姻をつかさどる官吏を操りケントガランと王子の婚約を白紙にしようとした。しかし、そのどれもがことごとく失敗に終わった。  次はいったいどうすればいいのか。  レオルゴールは10歳の腕を組んで思案した。前回、3年もかけて念入りに仕込んだ魔法をたやすく打ち破られたことで、レオルゴールはその尊大な自信を砕かれていた。  いま彼が求めているのは、庶民であるレオルゴールが、魔法を使わずにケントガランを追い詰める方法である。  そうして1か月ほど悩み続けて、レオルゴールはある策を思い付いた。  その策は単純明快だ。レオルゴールは意気揚々と家を出発した。彼は自覚はないものの、存外深く考えないところがある。  次なる策は、ケントガランと王子が出会う前に、ケントガランを自身に惚れさせるというものである。
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